LMCC準決勝では、3色同士がぶつかることとなった。
奥田がその手に携えているのは、準々決勝でも紹介した赤白青、ジェスカイカラーのコントロールデッキ。除去と打ち消し、そしてプレインズウォーカーという由緒正しきコントロールデッキだ。
《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza(DOM)》や《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》など、独自のチョイスも実に光っており、この二日で圧倒的な勝率を収めている。
そんな奥田のジェスカイと対峙するは、千葉の古豪、高木だ。LMCでの幾度とない優勝経験はもちろんのこと、かつてローウィン・ブロック構築で行われたグランプリ神戸では見事準優勝に輝いている。
高木の使用するデッキは、ゴルガリに青をタッチした、スゥルタイカラーのミッドレンジ。ゴルガリ・ミッドレンジに対して色を足すことで、アドバンテージ勝負・打ち消しによる干渉の2つの軸で優位に立つことができる。
個々のカードパワーの高い3色デッキ同士の対決。熱戦となること間違いない。
GAME 1
先手の利を生かして、《蒸気孔/Steam Vents(RTR)》から《アズカンタの探索/Search for Azcanta(XLN)》を2ターン目に着地させた奥田。
後手で高木も《野茂み歩き/Wildgrowth Walker(XLN)》を唱えるが、ひとまずは奥田が一歩リードといったところ。
更にここに《ウルザの後継、カーン》を加えて手札の補充を始めると、徐々に差は広がっていく。
なんとしてもアドバンテージ差を埋めるために《ウルザの後継、カーン》を倒したい高木は、《呼び覚ます者イザレス/Isareth the Awakener(M19)》をキャストするのだが、墓地にはカードが何もなく寂しい。しかも奥田の《轟音のクラリオン/Deafening Clarion(GRN)》によってこの2体は焼き払われてしまう。
頼みの綱の《最古再誕/The Eldest Reborn(DOM)》も《中略/Syncopate(DOM)》で打ち消されると、《ウルザの後継、カーン》がもう対処できない。
高木としてはアドバンテージ源となるカードを引き込みたいのだが、ジェスカイ相手には無力の除去ばかりが手札に溜まっていく。
間もなくして《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria(DOM)》まで駆けつけると、早くも奥田はゲームを掌握する。
高木の対象のいない寂しい《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra(RIX)》には手札の《本質の散乱/Essence Scatter(M19)》を使わずに、返ってきたターンですぐに奥田は《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《ウルザの後継、カーン》カーンのサイコロに手を伸ばす。
ここで奥田が《ウルザの後継、カーン》の2枚目を公開したのを見て、高木は投了の意志を示すべく、サイドボードに手をかけたのだった。
奥田1-0高木
GAME 2
ゲーム2はお互いが問題を抱えるスタートとなった。
先手の高木は4ターン目までセットランドしかせず、奥田は3ターン目まで土地を置き続けるが、4枚目を引くことができず、次のターンも土地に巡り合わない。
一方、5枚目の土地でようやく2つ目の緑マナを手に入れた高木は、《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger(RIX)》をキャストする。ここまで土地だけを引き続けていたわけではなく、どうやら色マナのトラブルだったようだ。
さて、ようやくゲームが動き出したところで、奥田は少考する。土地が止まっている奥田の手札にはもちろんたくさんの打ち消しがあり、どれを使うかで吟味しているのだ。結局、《本質の散乱》を使用することに高木はこれを《否認/Negate(RIX)》で打ち消し、《翡翠光のレインジャー》は場に残る。
相変わらず奥田は土地を引かないが、次々と高木に対応はしていく。2枚目の《翡翠光のレインジャー》を《イオン化/Ionize(GRN)》、《最古再誕》には2枚目の《否認》。
そしてようやく4枚目の土地を引いた奥田。《墓場波、ムルドローサ/Muldrotha, the Gravetide(DOM)》を《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke(KTK)》で打ち消しながら《翡翠光のレインジャー》を《裁きの一撃/Justice Strike(GRN)》で除去し、返しのターンで《ドミナリアの英雄、テフェリー》を着地。
土地が止まってはいたものの、高木のアクションが1ターンに1回だったため、ギリギリのところで奥田は間に合ったのだ。
とはいえ、高木には奥田を切り崩すチャンスはもちろんある。《採取+最終/Find+Finality(GRN)》の《採取》で《翡翠光のレインジャー》と《墓場波、ムルドローサ》を回収して再び出し直していく。すべてをプレイして、何か1枚を生き残らせようという作戦だ。クリーチャーが残るか、あるいは打ち消しを使わせた上で《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy(GRN)》や《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt(XLN)》で、まずは《ドミナリアの英雄、テフェリー》の対処にかかろうとする。
だが、《ドミナリアの英雄、テフェリー》が動き出してしまうと、奥田の手札は無尽蔵だ。遅れて出てきた《ウルザの後継、カーン》のプラス能力と合わせて毎ターンカードが3枚増えていくのだ。しかもほとんど隙が生まれない。
2枚目の《採取+最終》(《採集》)で《翡翠光のレインジャー》と《墓場波、ムルドローサ》を再び拾い直すも、打ち消しと《轟音のクラリオン》が高木のクリーチャーを根こそぎ奪っていく。
毎ターン、何かしらの呪文を使っている高木。奥田に対応をさせ続けてはいるのだが、手札は全く減らない。気づけば高木の手札は残り1枚。
その最後の1枚となった《墓場波、ムルドローサ》。打ち消しのない奥田はこれを許可するのだが、場には既に忠誠度がたっぷりの《ドミナリアの英雄、テフェリー》。マイナス能力でライブラリーの3番目へと置くと、ここでゲームセット。
手札に大量の除去と一瞬を握りしめながら、奥田が決勝へと駒を進めた。
奥田2-0高木