強豪ひしめくＬＭＣチャンピオンシップ。必然的に強者同士がこの第１ラウンドからマッチングされることとなる。

 記念すべきＬＭＣＣ２０１５の最初のフィーチャーマッチテーブルに着いたのは、ＬＭＣＣディフェンディングチャンピオンの吉森奨だ。

　昨年は鵜澤との死闘を制した吉森。今年はＬＭＣに参加する機会が減ってしまい、残念ながらbyeを手に入れることが出来ず、この一回戦から勝ち星を得るために戦わざるを得なくなった吉森だが、決してマジックから離れていたわけではない。その活躍の場所はむしろ広がっているということを、吉森の着ているBigMagicシャツが示している。

　一方の藤井はＬＭＣの常連だ。ＤＣＩナンバーはなんと６桁！　いかに古くからマジックに親しんでいたかが僅か６個の数字でうかがえる。

　ディフェンディングチャンピオンとして臨む最初の相手として不足なし。吉森の防衛線が今始まった。

GAME 1

　《乱脈な気孔/Shambling Vent(BFZ)》のタップインから《溢れかえる岸辺/Flooded Strand(ONS)》で平地をサーチし、《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》というアブザンかエスパーかという立ち上がりの吉森。

　

　対する藤井は《吹きさらしの荒野/Windswept Heath(ONS)》を２ターン連続で生贄に捧げ、２枚の平地を戦場に並べ、そしてこちらも《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》。

　吉森はこの《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》をすぐに《絹包み/Silkwrap(DTK)》で追放すると、自分の機械だけは成長させようと、１マナを残してターンを返す。

　だが藤井も序盤の攻防で遅れを取ることはなかった。《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid(ORI)》で《梢の眺望/Canopy Vista(BFZ)》をサーチしてから２枚目の《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》。更に《汚染された三角州/Polluted Delta(ONS)》を置くのみの吉森の守りを支える唯一の生物――否、機械に向けて、《絹包み/Silkwrap(DTK)》をお見舞いする。

　《絹包み/Silkwrap(DTK)》と《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》がお見合いとなった戦場を単独で駆け抜けるのは《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid(ORI)》。この攻撃を少考の末スルー。

　場で少し不利な吉森の５ターン目のアクションは《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited(BFZ)》。＋能力を使い、ライフを１４にしながら手札を増やす。ターン終了時に藤井の《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》に２つ目のカウンターが乗る。

　手札をどう駆使してもこの《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited(BFZ)》を戦場から退けることの出来ない藤井だが、愚直に攻撃を仕掛けるのみ。今回は《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》の成長も放棄し、忠誠値を４つ減らす。更に《風番いのロック/Wingmate Roc(KTK)》を戦場に送り出し、手札を多く持つ吉森に対し、ボードで差をつける。

　ここで《次元の激高/Planar Outburst(BFZ)》か《対立の終結/End Hostilities(KTK)》があれば一気に楽になる吉森だが、マナをフルオープンのまま、攻撃の権利を再び藤井に明け渡す。

　不穏な空気を感じるが攻撃をしないわけに行かない藤井は、ロック鳥と番いのトークンを《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited(BFZ)》に向かわせ、《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid(ORI)》は本体へと攻撃する。《乱脈な気孔/Shambling Vent(BFZ)》により騎士は失うも、《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited(BFZ)》は無事墓地へ。まずは吉森の防御を剥ぎ取る。

　ならば、と吉森は次なるプレインズウォーカーを送り込む。その名は《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn Visitor(KTK)》。《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》も追加して徹底的な防衛線を張る。

　だが《絹包み/Silkwrap(DTK)》を持っていた藤井は攻勢を続ける。吸血鬼トークンを彼方へと消し去り、《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn Visitor(KTK)》は《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited(BFZ)》と同じ運命を辿り墓地へ。

　と、ここまで防戦一方だった吉森はおもむろに《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》で攻撃を宣言。その意図はすぐに明らかとなり、吉森も《風番いのロック/Wingmate Roc(KTK)》を引き込んでいた。

　３枚目の《絹包み/Silkwrap(DTK)》を持っていた藤井は3/4トークンを追放。更に変異も追加し、攻撃の姿勢を全く緩めない。

　まだ我慢が続く吉森は、今度はお供を失った《風番いのロック/Wingmate Roc(KTK)》のみで攻撃する――ということは、お代わりがあるということだ。２枚目の《風番いのロック/Wingmate Roc(KTK)》が吉森を守る壁となって立ちはだかる。

　藤井のドローは《始まりの木の管理人/Warden of the First Tree(FRF)》。構わずに変異クリーチャー、4/4の《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》、《風番いのロック/Wingmate Roc(KTK)》とそのトークンで攻撃を仕掛ける。

　《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》が《死霧の猛禽/Deathmist Raptor(DTK)》を受け止め、ライフはわずかに３。

　たったの３。だが、確かに残った３。

　吉森は、ついに藤井の攻撃を耐え切ったのだ。

　満を持して、守るためではなく、攻めの攻撃宣言を行った。《風番いのロック/Wingmate Roc(KTK)》２枚の恩恵を受けて一挙１０点のライフを得る吉森。更に藤井の《風番いのロック/Wingmate Roc(KTK)》は《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited(BFZ)》で、《始まりの木の管理人/Warden of the First Tree(FRF)》は《破滅の道/Ruinous Path(BFZ)》で除去と盤面を制圧する。

　たった１回の全力の攻撃により一気に追い込まれる形となった藤井。ドローしたカードを一瞥し、それを伏せると、クリーチャーで総攻撃を仕掛けてターンを終える。

　恐る恐る吉森が攻撃を宣言すると、藤井は笑顔で場を片付け始めた。

吉森１－０藤井

ＧＡＭＥ２

 

 

　ゲーム１とは打って変わって土地の並べ合いで２ターンが過ぎ、最初に戦場に現れたのは《巨森の予見者、ニッサ/Nissa, Vastwood Seer(ORI)》となった。

　

　後手の恩恵を受けて吉森は《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid(ORI)》でマナブーストを行うと、《精神背信/Transgress the Mind(BFZ)》をキャスト。濃厚な藤井の手札から、２枚あるうちの１枚の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》を抜き去る。

 

　藤井は予告先発する形になった《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》をそのまま戦場に。

 

　この英雄の前に悩む吉森。ひとしきり思考をめぐらせた後、こちらも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》から2/2トークンを生み出す。

 

　ギデオンの出し合いは先手が圧倒的に有利。藤井はこの利を生かすべく、《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid(ORI)》と自らの2/2トークンを《ドロモカの命令/Dromoka's Command(DTK)》で格闘に向かわせるのだが、トークンに《残忍な切断/Murderous Cut(KTK)》を打ち込まれてしまう。仕方なく《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》で同盟者のリクルートを行い、ターンを終える。

 

　吉森は２枚目のプレインズウォーカーとして《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn Visitor(KTK)》を。＋能力を使用してターンを終えようとする吉森に藤井は制止をかけ、絆魂がクリーチャーに付く前に《ドロモカの命令/Dromoka's Command(DTK)》で《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid(ORI)》を破壊。

 

　が、今回も吉森の場が固い。全く攻撃の出来ない藤井は《棲み家の防御者/Den Protector(DTK)》を変異で場に送り込むのみ。

 

　《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn Visitor(KTK)》によってライフレースで大きく先行する吉森は余裕の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》での攻撃宣言。同盟者がギデオンの振るう鞭の餌食となる。

 

　《棲み家の防御者/Den Protector(DTK)》と《ドロモカの命令/Dromoka's Command(DTK)》を駆使してこの防衛線を崩そうと目論む藤井だが、ドローは土地。気付けば《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》まで失っていた藤井。毎ターン、少しずつ不利になっていく。

 

　ついに《巨森の予見者、ニッサ/Nissa, Vastwood Seer(ORI)》まで失った藤井。トップデッキした《始まりの木の管理人/Warden of the First Tree(FRF)》と最後のトークンが《巨森の予見者、ニッサ/Nissa, Vastwood Seer(ORI)》の後を追うと、次に同じ道を辿るのは自分と悟ったのだった。

 

 

吉森２－０藤井

 

吉森Ｗｉｎ！