準決勝:「雪辱戦」萩原紀幸(千葉) vs. 増野良輔(千葉) 

By Yuya Hosokawa


 LMCCの決勝ラウンドで邂逅するのは2009年以来だという両者。その時はジャンドの萩原が《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》を打ち、それを《否認/Negate(DTK)》で打ち消したバントの増野が勝利したらしい。


 時は流れ2015年。


 2人はまた、似たようなデッキを持ち込んで対峙した。


 環境の覇者、ジャンドを使っていた萩原は、環境最強と名高いアブザンアグロで。


 カウンターでクリーチャーを守り勝つバントを使っていた増野は、《頑固な否認/Stubborn Denial(KTK)》を入れたビートダウンで。


 萩原が雪辱を果たすか。増野が再び敗北の味を教えるのか。


 LMC強豪同士の熱戦に期待しよう。

 


GAME1


 

 スイスラウンドの順位で下の萩原が後手ながら《始まりの木の管理人/Warden of the First Tree(FRF)》と言うスタート。《獣呼びの学者/Beastcaller Savant(BFZ)》を2ターン目に呼び出した増野は、このマナクリーチャーで萩原に果敢に殴りかかる。


 相打ち上等といわんばかりのこのアタックを萩原はブロックするか一瞬悩むもスルーし、3/3にして攻撃することに。


 ここで増野は学者を2回目のレッドゾーンへは向かわせず、代わりに土地として使うことにした。呼び出したのは《放浪する森林/Woodland Wanderer(BFZ)》。勿論6/6だ。


 マリガンスタートだった萩原はこの6/6を除去することができない。《棲み家の防御者/Den Protector(DTK)》を変異で召喚するのみ。


 《放浪する森林/Woodland Wanderer(BFZ)》が生き残ったことで増野は俄然上機嫌。まずは6/6で攻撃し、今度は《空乗りのエルフ/Skyrider Elf(BFZ)》を戦場に。勿論5/5飛行だ。《放浪する森林/Woodland Wanderer(BFZ)》すら除去できない萩原にとってこの5/5飛行は辛いでは済まされない。


 《棲み家の防御者/Den Protector(DTK)》しか持っていない萩原。今度は表状態でキャストする。増野は意に介さずに攻撃宣言を続ける。


 《放浪する森林/Woodland Wanderer(BFZ)》をブロックによって失った増野。だがサイズの大きな肉を出すことなら増野のデッキは得意分野。《空乗りのエルフ/Skyrider Elf(BFZ)》を追加する。


 手札に3枚目の《棲み家の防御者/Den Protector(DTK)》も持っている萩原。それをプレイしている間に、上空を《空乗りのエルフ/Skyrider Elf(BFZ)》が駆け抜けて行った。



増野1-0萩原



GAME2



 再びマリガンを強いられる萩原。余裕の7枚キープの増野を尻目に萩原、次に配られた6枚は土地が1枚しかないという微妙なもの。


「デジャヴだ。6年前もダブマリで負けた」


 萩原がうつろな目で言う。だがあの時とは違う。バンクーバー・マリガンがある今、土地が1枚しかないこの6枚の手札には、可能性がある。


 結果、萩原はマリガンすることを選んだ。結局、萩原は5枚でゲームをスタートさせることとなった。


 5枚の手札の萩原が《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》でゲームの口火を切る。増野はやはり《獣呼びの学者/Beastcaller Savant(BFZ)》。


 この《獣呼びの学者/Beastcaller Savant(BFZ)》に対して《ドロモカの命令/Dromoka's Command(DTK)》を打つか《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost(KTK)》を出すかという2択で前者を選んだ萩原。《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》のカウンターを増やすことにする。


 増野は学者に愛されているらしく2枚目の《獣呼びの学者/Beastcaller Savant(BFZ)》を呼び出してターンを終了。


 萩原は《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost(KTK)》でプレッシャーをかける。手札の枚数こそ少ないが、場では押している。


 だが増野には秘策があった。《氷瀑の執政/Icefall Regent(DTK)》だ。《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost(KTK)》を縛りながら、巨大なクロックを用意する。


 《氷瀑の執政/Icefall Regent(DTK)》を除去したい萩原。最後に手札に残っている《棲み家の防御者/Den Protector(DTK)》を変異で唱え、即表返せるように手札を0枚にして場に2マナを用意する。


 増野はまず《氷瀑の執政/Icefall Regent(DTK)》で攻撃し、2/2の《空乗りのエルフ/Skyrider Elf(BFZ)》と《雷破の執政/Thunderbreak Regent(DTK)》を戦場に並べ、守りを固める。だがこれによりフルタップとなった。ターンエンドに《ドロモカの命令/Dromoka's Command(DTK)》を萩原は回収。


 《絹包み/Silkwrap(DTK)》をドローした萩原。悩みに悩む。プレイは比較的早い萩原がここまで悩むのは珍しい。


 結局、悩み抜いて出した結論は、《ドロモカの命令/Dromoka's Command(DTK)》を、《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》にカウンターを乗せ、《雷破の執政/Thunderbreak Regent(DTK)》と《搭載歩行機械/Hangarback Walker(ORI)》を格闘、だった。これにより守りを固めつつ、後々《氷瀑の執政/Icefall Regent(DTK)》を除去するときに余計なダメージを食らわなくて済む。


 だが増野も力強い。手札から2枚目の《雷破の執政/Thunderbreak Regent(DTK)》をプレイ。


 萩原はさっきのターンでドローしていた《絹包み/Silkwrap(DTK)》で《空乗りのエルフ/Skyrider Elf(BFZ)》をリムーブする。攻撃は出来ない。


 増野から脅威が止むことはない。次に萩原を苦しめるのは《放浪する森林/Woodland Wanderer(BFZ)》。勿論6/6だ。


 萩原はここで《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》をキャスト。おもむろに《窪み渓谷/Sunken Hollow(BFZ)》を立ててターンを終了する。


 萩原の手札は1枚。増野はここで生物をオールインすることで、萩原が《残忍な切断/Murderous Cut(KTK)》を持っていなければ、勝利することができる。逆に《残忍な切断/Murderous Cut(KTK)》を萩原が持っていると、返しの攻撃で増野は敗北となる。


 悩む増野。そして意を決して決断する。


 クリーチャーを全てレッドゾーンに送り、「本体」と一言。


 萩原は墓地を4枚触り――


 手札を公開した。


 萩原のライブラリートップから姿を現したのは、《残忍な切断/Murderous Cut(KTK)》だった。



増野2-0萩原




増野Win!



 そして増野はこの勝利により、ミスターLMC確定!