【LMCC直前特集】 あじわいさんのスタンダードガイド 第2回「ローテーションで残るデッキたち」

Written by Atsushi Kanno

 

こんにちは、AGY(あじわい)でございます。

 

新セット「カラデシュ」のイメージギャラリーもすべて公開され、今週末にはプレリリースが開催されます。

本稿は、間近に迫ったLMCCに向け、みなさまのスタンダード構築の助けとなるべく、メタゲームの整理および新コンセプトデッキのアイデア提案を目的とした、以下3回構成シリーズの第2回目です。

 

1.ローテーション落ちカードの影響まとめ

2.ローテーションの影響が少ないデッキの今後

3.完全なる妄想による新しいコンセプトのデッキ紹介

 

シリーズ第2回の今回は、新セット発売によるローテーションで大きな影響を受けない既存のデッキタイプのおさらいと、カラデシュから入る可能性があるカードの考察をお送りします。

 

この構成からお察しの方も多いと思いますが、前回取り上げなかった既存のデッキこそが、今回のローテーションであまり影響を受けないだろうと考えているデッキ群になります。今回取り上げるのは以下。

  • 緑黒昂揚
  • ティムール現出
  • 赤青バーン
  • 青黒ゾンビ

 それでは、それぞれのデッキタイプの代表的なレシピ(※ローテーション落ちするカードは強調してあります)と、入れ替え候補について見て行こうと思います。


緑黒昂揚

 今回の環境の調整役となるのは、この緑黒昂揚になると見て概ね問題無いと思われます。《巨森の予見者、ニッサ/Nissa, Vastwood Seer》という代えが効かないパーツが退場するものの、《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》の恩恵によって、盤面にクリーチャーを居座らせながら盤面をコントロールし、終盤の抑えとして《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》が用意してあるという、どの速度のデッキにも対応出来るというコンセプトは健在で、除去や生物の採用枚数を微調整するだけで、フィールドにいると予想されるデッキに応じて、ある程度柔軟に対応できるのも強みです。

 白黒コントロールと異なり、完全に盤面を支配する事がゴールではないので、《衰滅/Languish》の退場も受ける影響が小さいと考えられます。

 

 

Samuel Pardee「BG Delirium」

プロツアー『異界月』(3位)

7 《沼》

5 《森》

4 《進化する未開地》

4 《風切る泥沼》

4 《ラノワールの荒原》

-土地 (24)-

4 《残忍な剥ぎ取り》

2 《森の代言者》

1 《棲み家の防御者》

3 《不屈の追跡者》

2 《巨森の予見者、ニッサ》

2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》

1 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (15)-

 

4 《ウルヴェンワルド横断》

4 《闇の掌握》

2 《究極の価格》

3 《破滅の道》

1 《殺害》

3 《衰滅》

4 《最後の望み、リリアナ》

-呪文 (21)-


 

 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》の代わりに《花盛りの湿地/Blooming Marsh》を採用する所までは、特に説明するまでも無いとして、《究極の価格/Ultimate Price》のような軽い除去は代理が無かったので、《過酷な精査/Harsh Scrutiny》のような、テンポを阻害しない妨害手段で中盤にゲームを引き伸ばしていく方法論もあり得ます。

 《害悪の機械巨人/Noxious Gearhulk》という、盤面を逆転可能なクリーチャーが追加されているので、こちらの採用も検討しみたい所です。

 


 また、軽い生物が横展開されるデッキが横行するような環境が予想されるのであれば、赤にも手を伸ばして《コジレックの帰還/Kozilek's Return》を有効活用できるジャンド昂揚の方が躍進するかもしれません。 新しい2マナ3点火力《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning》なども選択肢に入るので、序盤の細かい動きもサポート出来るのは加点要素です。

 

 

 

 

 

Robert Santana「Jund Delirium」

グランプリ・ポートランド2016(1位)

6 《森》

1 《山》

4 《沼》

1 《燃えがらの林間地》

4 《進化する未開地》

4 《ラノワールの荒原》

4 《燻る湿地》

-土地 (24)-

3 《巡礼者の目》

2 《巨森の予見者、ニッサ》

1 《精神壊しの悪魔》

3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》

2 《膨らんだ意識曲げ》

1 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (12)-

 

3 《焦熱の衝動》

3 《ウルヴェンワルド横断》

4 《過去との取り組み》

3 《コジレックの帰還》

2 《餌食》

3 《衰滅》

3 《発生の器》

3 《最後の望み、リリアナ》

-呪文 (24)-



ティムール現出

 プロツアーで颯爽と登場し、世界選手権では更なるアップデートを見せたティムール現出は、一部のランプカードを失うものの、主要パーツはほぼほぼ残っており、基本コンセプトに大きな変更を加える必要はありません。

 

 

 

 

 

 

 

Oliver Tiu「Turbo Emrakul」

世界選手権2016(3位)

9 《森》

4 《島》

1 《山》

4 《ヤヴィマヤの沿岸》

2 《シヴの浅瀬》

2 《見捨てられた神々の神殿》

 

-土地 (22)-

3 《原初のドルイド》

2 《ヴリンの神童、ジェイス》

2 《巡礼者の目》

1 《巨森の予見者、ニッサ》

2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》

2 《不憫なグリフ》

3 《老いたる深海鬼》

3 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (18)-

 

3 《ウルヴェンワルド横断》

4 《過去との取り組み》

2 《群れの結集》

4 《コジレックの帰還》

3 《ニッサの巡礼》

4 《発生の器》

-呪文 (20)-


惜しむらくは、カラデシュからの追加戦力に乏しいところです。

《金線の使い魔》は使ってみたいところですが、環境の速度次第でしょうか。

 また、昂揚達成にも貢献しつつ墓地からパーマネントを拾える点から、《生命の力、ニッサ》の採用は試してみたいですね。

 

 

 

 

 

 


青赤バーン

元々はメタゲームの産物のようなデッキではありましたが、軽いスペルとダメージ効率が良いクリーチャーで一気に相手にダメージを吹き飛ばす動きは、Tier1に入らなくとも無視出来る存在ではありません。《熱病の幻視/Fevered Visions》のおかげで、クロック生物が容易く対処されるデッキに対しても戦える事が、このデッキのタフさの源泉ですね。

 

 

 

 

 

 

Simon Enckels 「UR Fevered Visions」

グランプリ・リミニ2016(3位)

1《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》

3《高地の湖/Highland Lake》

3《島/Island》

9《山/Mountain》

4《シヴの浅瀬/Shivan Reef》

4《さまよう噴気孔/Wandering Fumarole》

24 Lands

2《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy》

3《嵐追いの魔道士/Stormchaser Mage》

4《熱錬金術師/Thermo-Alchemist》

9 Creatures

 

2《払拭/Dispel》

3《焦熱の衝動/Fiery Impulse》

4《癇しゃく/Fiery Temper》

2《稲妻の斧/Lightning Axe》

2《非実体化/Unsubstantiate》

4《集団的抵抗/Collective Defiance》

4《焼夷流/Incendiary Flow》

2《苦しめる声/Tormenting Voice》

4《熱病の幻視/Fevered Visions》

27 Spells

 


 かなりシナジー寄りのデッキなので、あまり手を加えても良い事はないですが、早くも神との噂で持ち切りの《反逆の先導者、チャンドラ》は使われる可能性がありそうですね。

 久しぶりに登場したマナリーク系カウンターである《革命的拒絶》は頭の片隅に入れておきましょう。

 また、《独創の火花》は《熱錬金術師》や果敢との相性が良い面白いカードだと思います。

 



青黒ゾンビ

 最後にこれを取り上げるのは完全に個人的な趣味ではありますが、パーツがほぼほぼ残っているという点で、かなり有力視しているデッキです。

 特に、リミテッドでは往年の《群れネズミ》を思わせる、《墓所破り》をいちばん上手に使えるデッキであり、癖が強いもののかなり高いカードパワーを持つ《闇の救済》も綺麗に収まっています。

 

 

 

 

 

Ondrej Strasky 「UB Zombie」

プロツアー異界月

12《沼》

4《詰まった河口》

4《窪み渓谷》

2《島》

2《水没した骨塚》

24 Lands

4《墓所破り》

4《憑依された死体》

4《ヴリンの神童、ジェイス》

4《秘蔵の縫合体》

4《無情な死者》

4《ヴォルダーレンの下層民》

24 Creatures

 

4《闇の掌握》

3《闇の救済》

2《最後の望み、リリアナ》

2《破滅の道》

1《集団的蛮行》

12 Spells

 


 ほぼ失ったものがない反面、すんなり投入できるカラデシュのカードも少ないのは悩ましいところ。

ただ、相手のターンにクリーチャーを場に出せる事から、実は機体メカニズムを上手に使える可能性が高いと見ています。

 

 ただ強いと噂の《高速警備車》や、《領事の旗艦、スカイソブリン》などは、盤面に触りにくいこのデッキの弱点を補っていますし、《最後の望み、リリアナ》との相性も良いです。


 

 

というわけで第2回は以上です。

次回は、新しいカードを使った新しいデッキアイデアをご紹介できればと思います。。。頑張ってつくります