Round1 : 「シーソーゲーム」 吉森 奨(BIGs) vs. 石原 隼(chagamo Fireball)

by Yuya Hosokawa

 

今年からオープンイベントとして生まれ変わったLMC Championship 2016。

強豪ひしめくLMCC、初戦から早速熱い戦いが今まさに繰り広げられようとした。

 

まずはテーブルの西側に腰を下ろす吉森 奨。グランプリ静岡トップ8経験もあり、BIGs所属のトーナメントプレイヤーだ。LMCとも馴染み深く、吉森といえばLMCというイメージがあるだろう。このLMCCのカバレージでも、毎年必ずと言っていいほど吉森は登場している。

 

そして対するは石原 隼。謎の調整集団、chagamo Fireballのメンバーであり、再来週のプロツアーに行われる『プロツアー・カラデシュ』の権利も所持しているプレイヤーだ。残念ながらchagamo Fireballは決してマジックの調整チームではないらしく、プロツアーの練習のためにLMCCへ来たようだ。

 

全く新しいスタンダード環境。2人の強者が持ち込むデッキにも注目だ。

GAME 1

 

 

平地と《植物の聖域》の置き合いから、先手の吉森は《単体騎手》から《永遠の見守り》を唱えて白系のアグロであることを、後手の石原は《過去との取り組み》から《金線の使い魔》を唱えて現出デッキを使用していることを明かした。

 

吉森は4枚目の平地を置いて《単体騎手》で攻撃するのみ。不穏に立つ4マナにいぶかしむも、結局は《絡み草の闇潜み》を現出で唱え、《単体騎手》を戻すことに。

 

吉森の手札に何もないわけはなく、《単体騎手》を再び唱えて《石の宣告》をキャスト。

 

石原は落ち着いて《巡礼者の目》を唱えて《発生の器》でビッグアクションに備える。

 

待望の緑マナを引いた吉森だったが、少し噛み合わないタップイン。そしてこれが石原の《老いたる深海鬼》で寝かされてしまい…そうになるも、《優雅な鷺の勇者》をスタックで唱えることで、ターンが飛ぶことは回避する。

そのターン終了時に《発生の器》を起動した石原はその時に手に入れた《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を唱えつつ、《ウルヴェンワルドの横断》で《約束された終末、エムラクール》を手札に。

 

ここまであまり動きの無かった吉森は、2枚目の緑マナを今度はアンタップインで手に入れ、ビッグアクションを起こす。まずは《直接射撃》を《墓後家蜘蛛、イシュカナ》に打ち込み、更に2枚目の《直接射撃》で《老いたる深海鬼》を打ち落とし、ライフは一気に40を上回る。

 

だが落ち着いて石原は《約束された終末、エムラクール》をキャスト。

ライフがたくさんある吉森は《不屈の追跡者》でなんとか《石の宣告》を引き込みにいこうとするのだが、《ウルヴェンワルドの横断》で《老いたる深海鬼》をサーチ。

更に《過去との取り組み》でも《老いたる深海鬼》を拾うと、吉森の戦闘フェイズが訪れることはなかった。

 

 

石原1-0吉森

 

GAME 2

 

今度は《梢の眺望》からゲームを始め、緑マナがなかった第一ゲームよりも良いスタートを切ることのできた吉森。だが2ターン目にもアクションがなく、ファーストアクションは《異端聖戦士、サリア》。

 

返しで《金線の使い魔》を唱えた石原は、次のターンには《老いたる深海鬼》で土地を寝かせつつ、《光輝の炎》で《異端聖戦士、サリア》を焼き払う。

 

ここまでは白緑アグロに対して優位に立ち回っている石原。

 

だが、吉森がキャストした《折れた刃、ギセラ》に頭を悩ませることになる。

 

これを放置するわけにはいかない石原。どうするか悩みに悩む。結局、《ナヒリの怒り》でハンドを3枚捨てつつ《折れた刃、ギセラ》を焼き払うことに。

 

一気に手札を失った石原に追い討ちをかけるように、吉森は《集団的努力》で《老いたる深海鬼》を除去し、《ラムホルトの平和主義者》をキャスト。

 

この《ラムホルトの平和主義者》が2枚の《永遠の見守り》で5/5になると、石原は苦い表情。それもそのはず。石原の手札にあるのは《墓後家蜘蛛、イシュカナ》のみ。これが全く止まらないのだ。

 

更に追加の《ラムホルトの平和主義者》を持っていた吉森。《不屈の追跡者》も引き込むと、手札のない石原は、今引いた《約束された終末、エムラクール》をプレイするまで生き延びなければならない。

 

《優雅な鷺の勇者》をプレイしてライフも回復した吉森。《新緑の機械巨人》を後続として引いたおかげで、《約束された終末、エムラクール》を場に出されたとしてもゲームに勝利できる場を作り上げる。

 

圧倒的に不利な場。それでも出さない選択肢はなく、石原は《約束された終末、エムラクール》をを唱え、吉森のターンを奪う。

 

吉森の手札はなし。そして石原の奪ったターンでのドローがなんと《石の宣告》!

吉森が育てていた《不屈の追跡者》を追放し、これで《約束された終末、エムラクール》だけで勝てる場になる。《新緑の機械巨人》で成長した《ラムホルトの平和主義者》も《約束された終末、エムラクール》でブロックさせ、今度は石原が磐石の体勢。

 

帰ってきた本来の吉森のターンのドローは――

 

《石の宣告》!

これには石原も目を丸くする。

 

 

だが石原の手札には《老いたる深海鬼》。このエルドラージが攻撃を始め、残りのライフを削りきるのは時間の問題。

 

かのように見えたのだが。吉森の《スレイベンの検査官》が《スレイベンの検査官》を呼び、《優雅な鷺の勇者》に繋がると、徐々に状況は変わっていく。

 

攻めあぐねる石原。吉森の場に《不屈の追跡者》が現れると、後続が絶え間なく供給され続け、気付けば石原がチャンプブロックでしのぐ側に。

何せ出てくるクリーチャーは全て+2/+2されてしまうのだ。《永遠の見守り》のせいですれ違いのダメージレースにも持ち込めない。

戦場のクリーチャーは段々とチャンプブロックに次ぐチャンプブロックで減っていってしまい、ついにコントロールしているクリーチャーは《老いたる深海鬼》だけに。

 

長いシーソーゲームはついに終わりを迎えた――予想とは違った結果に。

 

石原がプレイしたのは《老いたる深海鬼》。

そして3枚目の《老いたる深海鬼》。

 

 

石原2-0吉森