Round12 : 「霊気池の驚異と脅威の機体」 萩原 紀幸(千葉) vs. 春日 亮佑(千葉)

by Yuya Hosokawa

 

そして6回戦のドラフトラウンドが終了し、プレイヤーたちは再びスタンダードテーブルに戻ってきた。

 

このラウンドのフィーチャーマッチは、LMCCで抜群の成績を誇る萩原と、グランプリチャンピオン・春日の対戦をお届けしよう。

 

春日のデッキは、既に初日で紹介した通り、《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》を使った青緑赤のエネルギーデッキ。その実力は未知数ではあるものの、昨日は見事に《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》を使いこなし、勝ち続けていた。

対する萩原は今大会最大勢力の白赤機体アグロだ。軽く良質な赤白のクリーチャーと機体の組み合わせが、全体除去にも単体除去にも強い。これからのスタンダードでまず活躍するであろうアーキタイプだ。

 

萩原が高速で殴りきるか。それとも春日が《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》を起動できるか。いずれにせよ、早い決着となること間違いない。

 

 

GAME 1

 

 

ゲームは萩原の《スレイベンの検査官/Thraben Inspector(SOI)》で幕を開けた。応えて後手の春日は《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》を唱える。

 

2ターン目もお互いにアクションがあり、《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》と《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》。この《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》をしっかりと《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》で対処した萩原がまずは一歩リードか。

 

マナクリーチャーが焼かれた3ターン目、春日は森、島、山と並べて少考。結局、何もすることなくターンを終えるのだが、そんな怪しいアクションも意に介さず、《高速警備車/Fleetwheel Cruiser(KLD)》を唱えてレッドゾーンにオールインする萩原。

仕方なく《コジレックの帰還/Kozilek's Return(OGW)》で《スレイベンの検査官/Thraben Inspector(SOI)》だけを吹き飛ばし、《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot(KLD)》で延命しようとするのだが、盤面には2体の脅威が残る。

 

萩原は搭乗させるためにメインで《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn(SOI)》を唱えて《高速警備車/Fleetwheel Cruiser(KLD)》で攻撃。

 

残りライフもエネルギーも少ない春日。悩みながら選んだのは《光り物集めの鶴/Glint-Nest Crane(KLD)》。ライブラリーからめくれたのは《ガラス吹き工の組細工/Glassblower's Puzzleknot(KLD)》で、これを手札に加えて《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot(KLD)》の起動マナを残してターンエンド。

 

だが萩原の手札は完璧だった。

 

《光り物集めの鶴/Glint-Nest Crane(KLD)》に《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》を打ち込むと、《発明者の見習い/Inventor's Apprentice(KLD)》をキャスト。これにより《高速警備車/Fleetwheel Cruiser(KLD)》が動き出し、《大天使アヴァシン/Archangel Avacyn(SOI)》と共に春日に襲い掛かる。

 

そのダメージは、《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot(KLD)》のゲイン量を上回るものだった。

 

 

萩原1-0春日

 

GAME 2

 

 

先手に変わった両者だが、やることは変わらない。春日は1ターン目に《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》を、萩原はクリーチャーを。

第一ゲームと違うのは、このクリーチャーが《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》だったということぐらいだ。

 

大きく違ったのは2ターン目。春日は《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot(KLD)》でエネルギーを溜めたのに対し、萩原はなんと2ターン目に土地を置けなかったのだ。

 

遅れて1ターン目に土地を引いた萩原。《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》を送り出すも、即座に《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》を喰らい、エネルギーが7つ溜まった状態で《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》を送り出す。

《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》を萩原がプレイし、《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》に搭乗しようとしたところで、春日は《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》を起動。だがめくれたのは《ガラス吹き工の組細工/Glassblower's Puzzleknot(KLD)》。

 

だがこれであっさりと終わらないのが《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》デッキの恐ろしさ。3つに減っているエネルギーだが、戦場には《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot(KLD)》と《ガラス吹き工の組細工/Glassblower's Puzzleknot(KLD)》。既に次の《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》の準備が完了しているのだ。

 

そしてこの《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》がめくったのは《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》。春日は《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》を追放せずに萩原の土地を追放することを選択する。《停滞の罠/Stasis Snare(BFZ)》でなんとかこの《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》には対処した萩原だったが、土地を引くことはできず、平地1枚のままターンを返す。

 

春日は落ち着いて《ガラス吹き工の組細工/Glassblower's Puzzleknot(KLD)》を起動。占術で2枚とも下に送りつつ、次の《ガラス吹き工の組細工/Glassblower's Puzzleknot(KLD)》を置く。

 

久しぶりに《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》に晒されることのなくなった萩原だが、《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》と《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》で攻撃することしかできない。

 

そしてこの《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》に打ち込まれた《慮外な押収/Confiscation Coup(KLD)》が、《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》の達成条件と萩原のクロックを奪うという2つの役割を担う。

 

次の《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》も《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》と非常に寂しいものだったものの、《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot(KLD)》を場に出した春日は再び《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》の起動条件を満たしてターンを終える。

 

ここで4枚目の土地を置いた萩原。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》を唱えて、春日の《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》が再び外れることを祈ることに。

 

春日がプレイしたのは――《人工物への興味/Appetite for the Unnatural(KLD)》。もちろん対象は《停滞の罠/Stasis Snare(BFZ)》で、《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》が場に戻る。

 

この《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》に攻撃され、残りのライブラリーが20枚になった萩原。《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》を除去できなければ敗北。除去しても《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》が萩原を追い詰める。加えて先ほど奪われた《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》も殴ってくる。

 

絶体絶命の萩原。さすがに春日も半ば勝利を確信した表情。

 

だが、萩原の目は死んでいなかった。

 

萩原が《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》にプレイしたのは《乗っ取り/Hijack(KLD)》!

目を見開く春日。《乗っ取り/Hijack(KLD)》のテキストを確認する。このまま《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》が何もめくらなければ、負けてしまうのは春日の方だ。一転して追い詰められる形に。

 

祈るように6枚をめくる。

1枚、2枚…祈りながら見た6枚の中から現れたのは――

 

《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》!

 

まず追放能力で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》とトークンを追放し、更に《乗っ取り/Hijack(KLD)》で対象を取られていた《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》を伝説ルールで墓地へ送る。

 

そしてこれが、萩原のできる最後の抵抗だった。

 

攻め手を失った萩原と、《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》をコントロールしながら《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》で攻撃する春日。

 

萩原が膝をつくまで、ターンはそうかからなかった。

 

 

萩原1-1春日

 

 

GAME 3

 

 

白熱の最終戦。お互いに力を使い切ったのか、オープニングハンドは即座にマリガン。1枚すり減った手札にも、歯切れ悪くキープと仲の良い両者。

 

《鋭い突端/Needle Spires(OGW)》から2ターン目に《発明者の見習い/Inventor's Apprentice(KLD)》と《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》を並べる萩原。春日は《光り物集めの鶴/Glint-Nest Crane(KLD)》を唱えてブロッカーを呼び出すも、4枚の中にアーティファクトはなく。

 

だが萩原もアーティファクトを持っていない。《発明者の見習い/Inventor's Apprentice(KLD)》と《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》は1/1。そして今場に出した《無私の霊魂/Selfless Spirit(EMN)》も2/1。すべて《光り物集めの鶴/Glint-Nest Crane(KLD)》で止まってしまっている。

 

《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot(KLD)》を唱えた返しでも萩原は土地もアーティファクトも引かず。《発明者の見習い/Inventor's Apprentice(KLD)》が増えるだけ。《織木師の組細工/Woodweaver's Puzzleknot(KLD)》の起動を構えて春日がターンを返して来ても、萩原は《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》を並べることしかできない。

 

しかし春日も4枚目の土地を引かない。《ガラス吹き工の組細工/Glassblower's Puzzleknot(KLD)》を唱えて占術でライブラリーを2枚下に送り込む。そして萩原は土地を引かない。

 

築けば戦場には3枚の《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》と2枚の《発明者の見習い/Inventor's Apprentice(KLD)》。アーティファクトはなし。

春日は4枚目の土地を引かない。手札には《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》。場には7個のエネルギー。

 

先に引きたいものを引いたのは――春日だった。4枚目の土地を引き、即座に《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》を唱える。そして今すぐに起動!

《コジレックの帰還/Kozilek's Return(OGW)》が墓地にあり、《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》が出た瞬間に春日はゲームに勝利できる。

 

だがその6枚から春日がプレイしたのは《慮外な押収/Confiscation Coup(KLD)》。《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》を奪いながらエネルギーを8個に溜める。

 

生き残った萩原。そして偶然か必然か、こちらも待望の土地をドロー!《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》をプレイして《発明者の見習い/Inventor's Apprentice(KLD)》2体と《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》2体が一気に成長する!

 

《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》で何かをめくらなければならなくなった春日。というかプレイしたいのは《絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger(BFZ)》だ。

 

1枚、2枚、3枚、4枚、5枚、6枚。

 

求めていたカードは――そこにはなかった。

戦場に出るのは《光り物集めの鶴/Glint-Nest Crane(KLD)》のみ。

 

もう1回チャンスがあれば。《蓄霊稲妻/Harnessed Lightning(KLD)》を飛行機械トークンに打ち込み、アーティファクトを萩原がプレイさえしなければ、まだ生き残り、《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》をもう一度プレイすることができる。

 

祈るようにライブラリーをめくった春日は、今度は「萩原が引きませんように」と祈る。

 

萩原のドローは平地。

 

4枚目の土地を置いて萩原がプレイしたのは《高速警備車/Fleetwheel Cruiser(KLD)》。

 

 

萩原2-1春日