Round1 菅谷裕信(千葉) vs.及川真史 (千葉)

LMCの猛者達が集う、LMCC2017。

 

その初戦をフィーチャーテーブルで戦うのが、先週のグランプリ静岡でトップ4に入賞した菅谷 裕信だ。

リミテッドの強者として知られる千葉のプロプレイヤー、菅谷だが、構築フォーマットももちろん得意だ。グランプリ・マニラではキスキンを使用し、見事に栄冠を手にしている。

本日も一風変わった意欲作を手に、長い戦いの初陣に挑む。

 

 

そんな菅谷と対峙するのは、LMCの常連プレイヤー、及川だ。

その手に携える武器は、前環境の王者にして今大会でも大本命と目されているティムール・エネルギー。『イクサラン』により大幅に強化されたアーキタイプではないのだが、元々前環境で最も強いデッキと評されていたことに加え、ローテーションの影響をほとんど受けていないことから、Magic Onlineのプロツアー予選やワールドチャンピオンシップで、多くのプレイヤーがティムール・エネルギーを選択している。

 

 

環境最強のデッキを駆る及川に、菅谷が用意した策やいかに。

 

 

GAME 1

 

 

第1ターン目から天井を見上げ、少考する菅谷。やがて《森/Forest》から《改革派の地図/Renegade Map》をキャストし、静かに今年のLMCCは幕を開けた。

 

一方の及川も序盤はマナを増やすことに専念する。《霊気との調和/Attune with Aether》から始め、続けて《導路の召使い/Servant of the Conduit》をキャストと上々のアクション。

 

菅谷のデッキが判明したのは4ターン目だった。《進化する未開地/Evolving Wilds》と《改革派の地図/Renegade Map》で《平地/Plains》と《沼/Swamp》をそれぞれサーチすると、《秘密の備蓄品/Hidden Stockpile》を着地。アブザンカラーのトークンデッキということだ。更に《選定の司祭/Anointer Priest》を横に並べ、トークンを生み出しつつライフを回復させる。

 

まずは有利に立ったのは及川。《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》から、《導路の召使い/Servant of the Conduit》の力を借りて《栄光をもたらすもの/Glorybringer》を4ターン目にキャストすると、督励せずに攻撃する。

 

これに対して菅谷の回答は《バントゥ最後の算段/Bontu's Last Reckoning》。とはいえ一息つく間もなく、間髪入れずに及川の手札からは《スカラベの神/The Scarab God》。

そしてこの《スカラベの神/The Scarab God》が《栄光をもたらすもの/Glorybringer》を吊り上げると、万事休す。

 

と思われたが、ついに6枚目の土地に辿り着いた菅谷は初手から控えていた《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》に手を伸ばす。《スカラベの神/The Scarab God》を一旦戦場から退け、続くターンに督励状態の《栄光をもたらすもの/Glorybringer》を破壊と、素晴らしい活躍を見せる。

 

ならばと及川が唱えた次の脅威は《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso》。即座にすべてのエネルギーを飛行機械トークン4体に変えて攻撃し、これで菅谷のライフは僅か1に。

 

果たして菅谷の回答は——あった。《燻蒸/Fumigate》により菅谷のライフはなんとか6まで戻り、及川の《スカラベの神/The Scarab God》も《排斥/Cast Out》で対処する。

 

 ようやく一息つくことのできた菅谷は、ついにデッキのキーカードである《選定された行進/Anointed Procession》をキャスト。

 

 

《スカラベの神/The Scarab God》しかない及川は、トークンが増える前に菅谷にとどめを刺すことができない。

 

間もなく《マリオネットの達人/Marionette Master》が戦場に現れ、及川は残りのライフを削り切ることを諦めたのだった。

 

 

菅谷1-0及川

 

 

GAME 2

 

 

このゲームも《霊気との調和/Attune with Aether》と共にスタートする及川。そして先程と同じく《導路の召使い/Servant of the Conduit》を唱え、菅谷のファーストアクションとなった《選定の司祭/Anointer Priest》に、強烈な1枚を向ける。

 

その名は《人質取り/Hostage Taker》。

 

 

『イクサラン』で今最も話題となっている1枚がこの《人質取り/Hostage Taker》。スゥルタイ・エネルギーで早速活躍しているこのカードだが、黒マナを捻出しやすいティムール・エネルギーに及川は《人質取り/Hostage Taker》を入れたのだ。

 

戦力を失ったばかりか相手に献上してしまった菅谷だが、戦力を人質に取られたお返しに、このマッチにおけるキラーカードを置く——そう、《厳粛/Solemnity》だ。

 

 

《厳粛/Solemnity》により、及川の片翼をもぐことには成功した菅谷。何せエネルギーを生み出すシナジーで戦うのが及川のティムール・エネルギーなのだ。

今唱えた《霊気との調和/Attune with Aether》も《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》もエネルギーを生み出すことはない。既に生み出されている数少ないエネルギーしか及川は使用できないのだ。

 

だがしかし、場に出てきたクリーチャーを対処するカードが菅谷の手札にはない。

《導路の召使い/Servant of the Conduit》を始めとした4体のクリーチャーに殴られている間に菅谷ができたことと言えば、《強迫/Duress》を打つぐらいだった。

 

ブロッカーの《陽光鞭の勇者/Sunscourge Champion》が《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance》で焼き払われると、菅谷は潔く最終ゲームへ進むことを決めた。

 

 

菅谷1-1及川

 

 

GAME 3

 

 

最終ゲームは仲良くマリガンから始まり、菅谷の《秘密の備蓄品/Hidden Stockpile》がファーストアクションとなる。

 

これに対して及川は《導路の召使い/Servant of the Conduit》で応え、菅谷が3ターン目を《進化する未開地/Evolving Wilds》だけでパスしたのを見て、《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》で盤面を作る。

更に4ターン目にも菅谷がアクションを起こさなかったことで、ここを好機と見た及川は、《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra》を展開し、一気にゲームの主導権を握りにかかる。

 

だが、菅谷は百点満点の回答を持っていた。

 

 

《燻蒸/Fumigate》が盤面に吹き荒れ、戦場にはたった今生み出されたばかりの霊気装置トークンが残る。

 

しかも《導路の召使い/Servant of the Conduit》が除去されたことにより、4マナ目が捻出できなくなった及川は、《牙長獣の仔/Longtusk Cub》を唱えることしかできない。そしてそのクリーチャーめがけて菅谷の《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》の刃が襲い掛かる。

 

ようやく及川は土地を引き始めるが、《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》が今度は海賊を生み出し始め、《秘密の備蓄品/Hidden Stockpile》の霊気装置トークンと共に、及川を脅かす。

 

手札がたくさんある及川だが、それを戦場に唱えるマナがなく。ひたすらに生み出され続けていくトークンの群れに、膝を折ったのだった。

 

 

菅谷2-1及川