初日のスタンダードラウンド最終戦。既にフィーチャーマッチに一度登場している小堺と有田が、相対することとなった。
小堺の使用するデッキ、ラムナプレッドは、プロツアー『破滅の刻』を席捲した後も、スタンダードをけん引し続けている。特にローテーション落ちによる影響を受けなかったデッキとして前評判も高く、それだけでなく、事実として今回のワールドチャンピオンシップでも、最も多くのプレイヤーがラムナプレッドを選択しているのだ。
一方、有田の使用するスゥルタイ・エネルギーは新たに生まれたアーキタイプだ。《巻きつき蛇/Winding Constrictor》と《牙長獣の仔/Longtusk Cub》を軸にしているというのは前環境の黒緑アグロと同じだが、大きく異なるのは、新加入の《人質取り/Hostage Taker》が入ったという点だ。
除去兼アドバンテージ獲得手段を手に入れたこのデッキは、Magic Onlineのプロツアー予選でも上位に入賞し、SCGオープンでは優勝など、輝かしい成績を残している。
期待の高かった前環境の長と、新たに生まれたデッキの戦い。そしてこれからのスタンダードで最も多く見ることになるであろう戦いが、今始まる。
GAME 1
有田の、後手の《植物の聖域/Botanical Sanctum》からの《霊気との調和/Attune with Aether》がこのゲーム最初の呪文となった。
1ターン遅れて引いてきた《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》を唱えた小堺に対し、有田は《牙長獣の仔/Longtusk Cub》をブロッカーとして立てる。《霊気との調和/Attune with Aether》を唱えているため、いつでもこの《牙長獣の仔/Longtusk Cub》は3/3へとなる。
《牙長獣の仔/Longtusk Cub》を《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra》の対象に取った小堺。有田は対応して+1/+1カウンターを置いて能力の対象外にしようとするも、狙い澄ました《ショック/Shock》で撃ち落とす。
これは半ば織り込み済みの有田。落ち着き払って《光袖会の収集者/Glint-Sleeve Siphoner》をブロッカーとして唱えると、《致命的な一押し/Fatal Push》と合わせて、《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》と《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra》を戦場から処理する。
が、間髪入れずに小堺は《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》を着地。
この新たな脅威を前に、《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》を唱えることしかできない有田は、《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》の攻撃によりライフが10。更に追加の脅威として小堺は5枚目の土地を置きながら《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev,Skyship Raider》をキャスト。次のターンにセットランドすれば《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra》も永遠で戻ってくるという状況だ。
《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》を対処できる《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》を持っていた有田だが、6枚目の土地を小堺が引いたことで、有田は自分のライフが0になることを悟ったのだった。
小堺1-0有田
GAME 2
このゲームも有田は《霊気との調和/Attune with Aether》から《牙長獣の仔/Longtusk Cub》と、先ほどのゲームと同様のスタートを切る。
が、大きく違う点が2つあった。1つは小堺がダブルマリガンを喫していること、そしてもう1つは、有田が先手だということだ。
《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev,Skyship Raider》に《致命的な一押し/Fatal Push》を浴びせた有田は《牙長獣の仔/Longtusk Cub》で攻撃し、即座に成長させる。後手の時は一度も攻撃できなかった《牙長獣の仔/Longtusk Cub》が、膨れ上がっていく。
《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher》で攻撃を仕掛けてくるる小堺だが、ダメージレースで有利なのは有田だ。何せ《牙長獣の仔/Longtusk Cub》は攻撃するたびにどんどんと成長していく。3ターン目にして既に《牙長獣の仔/Longtusk Cub》は、既に仔というサイズを超えている。この獣の攻撃を通し続けるだけで、有田は有利になっていく。
だがここで有田に異変が起きる。土地が2枚のまま止まってしまったのだ。それでもアクションがないわけではなく、《歩行バリスタ/Walking Balista》で小堺を迎え撃つ。
この有田の事故につけ込みたい小堺。しかし手札にあるのは《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra》ばかりで、《歩行バリスタ/Walking Balista》との相打ちしか出来ず、ダメージレースを有利に運ぶことができない。
いまだに土地を引かない有田だが、《牙長獣の仔/Longtusk Cub》のサイズだけはどんどんと上がっていく。
やがてブロッカーを《致命的な一押し/Fatal Push》で排除すると、有田は結局土地が2枚のまま、《牙長獣の仔/Longtusk Cub》だけで殴り切ったのだった。
小堺1-1有田
GAME 3
最終戦は、小堺の怒涛の攻めから始まった。
《損魂魔道士/Soul-Scar Mage》から《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev,Skyship Raider》と展開し、《巻きつき蛇/Winding Constrictor》を焼きながら攻撃を仕掛ける。3ターン目にアクションを起こせなかった有田に、小堺は《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher》で攻撃を仕掛け、僅か3ターン目にして有田のライフを7まで落とす。
開始1分にして圧倒的な展開。絶体絶命のピンチだったが、有田の目は死んでいなかった。
4枚目の土地をセットした有田が唱えたのは《ヤヘンニの巧技/Yahenni‘s Expertise》！そしてそのボーナスとしてプレイしたのは《貪る死肉あさり/Deathgorge Scavenger》！
小堺の盤面が壊滅し、有田は2点のライフを得て、その上戦場には放置しているだけでライフが増え続ける《貪る死肉あさり/Deathgorge Scavenger》。
一転して追い詰められた小堺。《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev,Skyship Raider》と《ボーマットの急使/Bomat Courier》を展開し直し、活路を見出す。
だが有田は力強く《貪る死肉あさり/Deathgorge Scavenger》で攻撃すると、《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》をブロッカーとして立てる。《ボーマットの急使/Bomat Courier》と《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev,Skyship Raider》で攻撃するために《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》に《削剥/Abrade》を打ち込んだ小堺だが、有田は会心の《顕在的防御/Blossoming Defense》！仕方なく小堺は、手札の最後の1枚である《稲妻の一撃/Lightning Strike》で《ならず者の精製屋/Rogue Refiner》を焼く。
そして戦場に残るは、前述の通り《貪る死肉あさり/Deathgorge Scavenger》。
頼みの綱の《ボーマットの急使/Bomat Courier》が《歩行バリスタ/Walking Balista》で撃ち落とされると、小堺には次のドローで《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》が引けなかったことを確認し、敗北を認めるのだった。
小堺1-2有田