R2 永井隆之 (秋田) vs. 菅谷裕信(千葉)

By 細川侑也

 

ラウンド2にフィーチャーテーブルで突撃するのは、秋田から参戦した秋田LMC強豪永井と、2つのグランプリチャンピオンの実績を持つ菅谷の2人だ。

 

秋田のLMCで日々腕を磨くという永井。今回持ち込んでいるのもスタンダード環境で最も強いと言われているゴルガリ・ミッドレンジであり、スタンダードへの造詣の深さがうかがえる。

一方の菅谷は、スタンダードとリミテッドの2つのグランプリで優勝したことのあるオールラウンダーで、もちろんスタンダードもお手のものだ。白いデッキを好む菅谷は、今日もセレズニア・トークンというらしいチョイス。

若き東北の雄と千葉の古豪の戦いが幕を開けた。

 

 

GAME 1

 

先手の永井が2ターン目、3ターン目に《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》を連打する立ち上がり。

更にここに《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger(RIX)》を加えて探検軍団で軽快に攻撃を仕掛けていきたいところ……なのだが、菅谷の動きがそれを許さない。

というのも、菅谷のデッキは前述した通り白緑のトークンデッキ。《苗木の移牧/Saproling Migration(DOM)》と《ベナリア史/History of Benalia(DOM)》によって完全に盤面が止まってしまっているのだ。

 

永井の2枚目の《翡翠光のレインジャー》は2枚の土地をもたらすだけでそのサイズは2/1。悲しいことに戦場に4体いる内のたった1体の苗木で止まってしまっている。

 

一方の菅谷も攻め手がなく、《ベナリア史》で4/3となった騎士が3/2の《マーフォークの枝渡り》と相打ちとなるだけだ。5ターン目までお互いのライフに変動はなく、ただ場にパーマネントだけが増えていく。

 

ゲームが動いたのは6ターン目。6枚目の土地を置いた永井が勝負に出る。《採取+最終/Find+Finality(GRN)》の《最終》を使い、戦場のカードをまとめて薙ぎ払ったのだ。

+カウンターを乗せた《翡翠光のレインジャー》は《議事会の裁き/Conclave Tribunal(GRN)》で除去されるものの、菅谷の手札からは追加の戦力はない。

 

そして満を持して永井は《破滅を囁くもの/Doom Whisperer(GRN)》をキャスト。ライフが十分にあり、盤面が拮抗以上であれば、このカードはとても強い。仮に除去されてしまったところで、諜報で次の戦力を探しに行けるのが魅力だ。

…菅谷の手札には、そもそも除去がなかったのだが。

 

力なくターンを返す菅谷。ターンエンドに諜報を行うことが出来る永井だが、ノータイムで土地をアンタップし――すぐに再び5枚の土地をタップする。

現れたのは、2枚目の《破滅を囁くもの》。

 

つがいとなった悪魔の囁きを聞くことなく、菅谷はサイドボードに手をかけた。

 

 

永井1-0菅谷

 

 

 

 

 

 

GAME 2

 

 

軽快な展開を始めたのは先手の菅谷。《軍団の上陸/Legion's Landing(XLN)》から《苗木の移牧》と展開していく。

永井がブロッカーとして《探求者の従者/Seekers' Squire(XLN)》を立てるも、《希望の夜明け/Dawn of Hope(GRN)》を設置しながらノータイムで攻撃を仕掛ける。これによって早速《軍団の上陸》は《一番砦、アダント/Adanto, the First Fort(XLN)》へと変身しつつ、《希望の夜明け》でのドローも行う。エンジン全開の菅谷。

無限のアドバンテージを稼がれてしまう前に、まずは《希望の夜明け》をなんとかしなければならない。それをもちろん理解している永井は《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen(GRN)》で《希望の夜明け》に対処するが、トークンの攻撃によって《ゴルガリの女王、ヴラスカ》は退場し、《ビビアン・リード/Vivien Reid(M19)》の着地を許してしまう。

 

永井にとっての悩みの種は毎ターン増えていく。まずは《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty(DOM)》。更に《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard(XLN)》をその横に並べ、永井のクリーチャーの大半は機能不全に陥ってしまう。

デッキに入っている《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra(RIX)》、そして手札に控える《千の目、アイゾーニ/Izoni, Thousand-Eyed(GRN)》も。

 

とはいえ、《トカートリの儀仗兵》は大きな問題ではなかった。手札には第一ゲームを決めた《採取+最終》がきちんとあったのだ。《豊潤の声、シャライ》もろともまとめて除去し、盤面は一度綺麗に片付く。

 

だが、状況は先程のゲームとまるで違っていた。菅谷は落ち着いてターン終了時に《一番砦、アダント》から1/1のトークンを生み出し、《ビビアン・リード》のプラス能力を使いながら、《希望の夜明け》と《トカートリの儀仗兵》を場に出す。瞬く間に再生する、菅谷の場。

 

《ゴルガリの女王、ヴラスカ》や《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy(GRN)》と、除去は大量にある永井。だがその除去の何倍ものスピードで、菅谷のパーマネントは膨れ上がっていく。

 

手札に鎮座する《千の目、アイゾーニ》ならば、ライフを守ることはできる。できるのだが。

《トカートリの儀仗兵》を恨めしそうに見つめながら、永井は最終ゲームへ向かうために、場のカードを片付けた。

 

 

永井1-1菅谷

 

 

 

 

 

 

GAME 3

 

 

このマッチで初めての《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(DOM)》スタートとなった永井。しかし2ターン目にアクションは何もなく、3ターン目の《ゴルガリの女王、ヴラスカ》が実質的な初動となった。

 

菅谷はいつも通り、トークンを並べていく。《軍団の上陸》と《苗木の移牧》、そして《豊潤の声、シャライ》だ。

 

手札に《採取+最終》と《暗殺者の戦利品》を持つ永井。まずは《ゴルガリの女王、ヴラスカ》の忠誠度を上げながら、菅谷のアクションを待つ。菅谷がトークン3体と《豊潤の声、シャライ》で攻撃してきたのを見て、《暗殺者の戦利品》をそこに向ける。

 

返しで《採取+最終》を打てば盤面を壊滅させつつ、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》の忠誠度を上げ続けようという永井のプラン。だがこれを打ち砕いたのが、《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》だった。

《黎明をもたらす者ライラ》を除去できない永井。ならばと《破滅を囁くもの》を立ててこの5/5の天使を止めにかかる。

そして菅谷も《破滅を囁くもの》への対抗手段がない。小首を傾げてターンを返す。

巨大な天使と悪魔が戦場で顔を突き合わせる。

 

打開策を先に打ち出したのは菅谷だった。《黎明をもたらす者ライラ》のような良質なカードに頼らずとも、クリーチャーの量で勝負できるのが菅谷の白緑トークン。《大集団の行進/March of the Multitudes(GRN)》一気にトークンを生み出して攻撃を行う。

 

これにはノータイムで《採取+最終》を打ち込む永井。しかし菅谷の手札からは2枚目の《大集団の行進》――が永井も更なる《採取+最終》を重ねる。

盤面は再び天使と悪魔が睨み合う空間に。さっきと違うのは、《破滅を囁くもの》が10/10になっていることぐらいだ。

 

いや、もう一つ違うことがあった。それは永井のライフだ。確かに《大集団の行進》はきれいさっぱり《採取+最終》で対処した永井だが、その間に一度ダメージを受けている。それが2回重なったことで、既にライフは危険水域へと落ち込んでしまっているのだ。

 

そして残りライフを削り取るべく菅谷が唱えたのは、このマッチ何度目かわからない《苗木の移牧》を、初めてとなるキッカーでのプレイ。ずらずらと並ぶ4体の苗木が、最早永井には致命傷だ。

 

菅谷の攻撃宣言を聞いて、永井は頭を下げることで投了の意思を示したのだった。

 

 

永井1-2菅谷