昨日から合わせて6回のドラフトが終わって、LMCCは再びスタンダードへ。
第11ラウンドでは現在トップをひた走る三原と、それを追う菅谷の戦いとなった。
三原が使うのはゴルガリ・ミッドレンジ。大量のマナクリーチャーと除去、そしてプレインズウォーカーと実に三原好みのデッキだ。ゴルガリは2色ながら、手札と盤面に触れる上に攻めも守りも行えると、非常に器用なデッキだ。
白緑トークンは、ゴルガリ・ミッドレンジほど器用なデッキとは言い難い。基本戦略は「トークンを並べて対戦相手を倒す」だ。エンド前に《大集団の行進/March of the Multitudes(GRN)》から《開花+華麗/Flower+Flourish(GRN)》という必殺技も擁している。
同じ緑ながら全く違うゴルガリとセレズニア。勝利するギルドは、果たして。
GAME 1
ゲームの口火を切ったのは、菅谷の《苗木の移牧/Saproling Migration(DOM)》。次のターンには《ベナリア史/History of Benalia(DOM)》と、早速盤面に3体のクリーチャーを並べる。
セレズニアの菅谷が戦場にトークンを並べる一方で、ゴルガリの三原はマナを並べていく。《僧帽地帯のドルイド/Druid of the Cowl(M19)》、《エルフの再生者/Elvish Rejuvenator(M19)》で3ターン目にあっという間に5マナを確保。
ここまでの攻防は五分。だが、ここから両者の明暗が分かれる。
菅谷は4ターン目、5ターン目をパス。5ターン目こそ《ベナリア史》で強化した騎士トークンで攻撃できたものの、手札のカードを1枚も消費できない。
その間に三原は《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger(RIX)》と《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza(DOM)》で菅谷のトークンに対する壁を築き上げていく。
ようやく3ターン目以来の呪文を唱えた菅谷。《開花+華麗》を華麗としてキャストし、4/4の騎士2体と3/3の苗木2体で攻撃する。しかし三原は落ち着いて的確なブロックでトークンを削り、《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy(GRN)》で4/4を処理し、ほとんどダメージを受けないままターンをやり過ごす。ここまでの不穏なアクションから、菅谷の手札には土地か《開花+華麗》しかないと確信しているのだ。つまり菅谷のクリーチャーの頭数さえ減らしてしまえば負けることがない、と。
そしてこの三原のゲームプランは、ずばりだった。
三原が《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker(XLN)》、《ビビアン・リード/Vivien Reid(M19)》とプレインズウォーカーを次々と並べる間、菅谷の手札に増えていくのは、《開花+華麗》だけだった。
三原1-0菅谷
GAME 2
このゲームで最初にレッドゾーンに滑り込んだのは、《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard(XLN)》。思わずテキストを確認した三原だったが、落ち着いて《暗殺者の戦利品》で対処する。
続けて出てきた《ベナリア史》のトークンは、《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》と《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra(RIX)》でそれぞれ除去。その後の4体の苗木トークンも《黄金の死/Golden Demise(RIX)》で薙ぎ払い、更地に《秘宝探究者、ヴラスカ》を着地させる。三原にとってはこれ以上ない展開。
ここまでお互いにノータイムでプレイしており、僅か5分。そしてこの5分でゲームが早くも決してしまいそうな勢いだ。
だが、菅谷のこのターンのアクションがゲームの流れを引き戻す。《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty(DOM)》をプレイしつつ《議事会の裁き/Conclave Tribunal(GRN)》で《秘宝探究者、ヴラスカ》を追放。しかもこれで昇殿を達成したことで、《オラーズカの拱門/Arch of Orazca(RIX)》が動き出す。
《豊潤の声、シャライ》に対抗する術が《採取+最終/Find+Finality(GRN)》しかない三原。だが-4/-4でプレイしてしまっては自分のクリーチャーも流れてしまうため、三原は採取モードで《マーフォークの枝渡り》を回収し、ライブラリートップの《ゴルガリの拾売人/Golgari Findbroker(GRN)》を墓地へと送り込む。
このプレイが功を奏し、三原は次のターンに《貪欲なチュパカブラ》に辿り着く。これで悩みの種だった《豊潤の声、シャライ》も退場させ、盤面には7点分のクロックがある。今度こそ、ゲームのペースは完全に三原に――
傾きはしなかった。菅谷がここで引き込んだのは力強い《大集団の行進》。
《軍団の上陸/Legion's Landing(XLN)》変身のためのアタッカーを用意しつつ、トークンをチャンプブロッカーに回し、返しのターンで攻撃して変身させる。
三原はこれを《黄金の死》でリセットし、トークンを増やすことを許さない。一瞬の隙を突かれはしたものの、再び三原が優位に立つ。
がしかし、力強い菅谷はまたしても《大集団の行進》をドロー!
対して三原は――大量のトークンを前についに攻撃の手を止めた。先に膝を折ったのは三原だった。ブロッカーを立たせてターンを終えることしかできない。
菅谷はカードを引いて、すぐにクリーチャーたちをタップさせる、それを見て三原は、最終ゲームへ向かうことを決めた。
三原1-1菅谷
GAME3
三原が《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(DOM)》、菅谷が《軍団の上陸》と、お互いに1ターン目から動き出す最終ゲーム。
2ターン目に2枚目の《ラノワールのエルフ》を唱えて三原はパスし、菅谷も《茨の副官/Thorn Lieutenant(M19)》で応える。
そして、この2体を前に三原は少考。結局選んだのは《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen(GRN)》プラスして何も生贄にはせずにターンを終える。
一方菅谷はビッグアクション。《協約の魂、イマーラ/Emmara, Soul of the Accord(GRN)》をプレイしながら《議事会の裁き》で《ゴルガリの女王、ヴラスカ》に対処と、盤面を捌きながらトークンを増やすという最高の展開。
一気に膨れ上がる場を前に、三原はまず《翡翠光のレインジャー》をキャスト。トップの《採取+最終》を墓地に落として、2枚目の《管区の案内人/District Guide(GRN)》はそのまま残す。手札には《秘宝探究者、ヴラスカ》が控えているが、三原は土地がないのだ。
ノータイムで菅谷は攻撃する。《協約の魂、イマーラ》は失うが、《軍団の上陸》が《一番砦、アダント/Adanto, the First Fort(XLN)》へと変身し、攻め手はまだたっぷりだ。
三原は《管区の案内人》と《エルフの再生者》で一気にマナを伸ばし、菅谷の攻撃に備える。トークンの数は4体でライフにはまだ余裕はあるが、トークンデッキ相手に4体のクリーチャーを残すのは非常に怖い。
そして菅谷は《開花+華麗》を持っていた。襲い掛かってくる4体のトークンを前に、三原は慎重にブロックを吟味する。2枚目の《開花+華麗》があった場合を想定して、頭数を減らしつつ、ブロッカーとライフが残るようにする。結局、ライフは3残り、盤面にクリーチャーは2体残った。相手の場にはトークンが3体。
ライフが危険水域の三原は慎重に生きる術を模索する。《秘宝探究者、ヴラスカ》のマイナス能力で《議事会の裁き》を除去し、それによって彼方から戻ってきた《ゴルガリの女王、ヴラスカ》でトークンを除去。見た目上では踏みとどまる。
ここで何か引き込みたい菅谷。だが土地しか引かない。何度か思考を巡らすも攻撃の選択肢はなく、2人のヴラスカを擁する三原にターンを返すしかない。
ようやく一息つく三原。唯一の機を逃してしまった菅谷。
たった1ターン。だがそれだけで、三原の盤面は目まぐるしく動く。
《秘宝探究者、ヴラスカ》が海賊を呼び出し、《ゴルゴンの陰謀家、ヴラスカ》が手札とライフを三原にもたらす。更にそこから引いたカードが新たなブロッカーとなる。
菅谷のドローは、土地。つまり、また三原のターンでは同じことが続く。となれば三原の防波堤を突破する術はもはや菅谷にはなく。
2人のゴルガリの女王の寵愛を受けた三原が、そのままマッチを制したのだった。
三原2-1菅谷