準々決勝 奥田賢史郎(チームバナナ)vs.小堺透雄(せるぷー四天王)

 

 

 

LMCC決勝ラウンドの4テーブルから、スイスラウンドをぶっちぎりのトップで通過した奥田と、8位突破の小堺の戦いをお届けしよう。

 

奥田のデッキは赤白青、ジェスカイカラーのコントロールデッキ。青白系コントロールはローテーション落ちの影響をあまり受けておらず、《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria(DOM)》の強さは未だ健在だ。メインに《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix(RIX)》や《運命のきずな/Nexus of Fate(M19)》を入れるなど、奥田の絶妙なカードチョイスが光っている。

 

そしてジェスカイコントロールと対峙する、小堺の赤単。メインボードから《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler(DOM)》を抜いて《実験の狂乱/Experimental Frenzy(GRN)》と《宝物の地図/Treasure Map(XLN)》を入れるという、ビッグレッドのようなデッキ。本人いわく「メインからサイドボード」の赤単。スピードを犠牲にした代わりにアドバンテージ勝負が行えるということで、ジェスカイコントロール側としては、一筋縄ではいかなそうな相手だ。

 

トリコロール対赤単。珍しく緑と黒のない戦いが始まった。

 

GAME 1

 

《蒸気孔/Steam Vents(RTR)》をタップインしてゲームを始める奥田に対し、小堺は《ギトゥの溶岩走り/Ghitu Lavarunner(DOM)》で果敢にビートダウンを仕掛ける。

奥田のファーストアクションは《アズカンタの探索/Search for Azcanta(XLN)》とまずまずなのだが、小堺が次に唱えた《宝物の地図》には苦しい顔。本来はサイドボードに入るカードなのだが、今日の小堺はこれをメインに採用している。

 

ここから、奥田の徹底した守りが始まる。《遁走する蒸気族/Runaway Steam-Kin(GRN)》2体に対して《本質の散乱/Essence Scatter(M19)》、《イオン化/Ionize(GRN)》を次々と浴びせながら、《アズカンタの探索》でドローの質をあげていく。

そして5ターン目には《ドミナリアの英雄、テフェリー》をキャストしながら、除去は常に構え続ける。

 

殴れるクリーチャーが《ギトゥの溶岩走り》しかいない小堺は、《ドミナリアの英雄、テフェリー》を倒すことができない。

 

テフェリーが生き残ってターンが返ってくるというのは、コントロールデッキにとって勝利に等しい。しかもこのターンにテフェリーの力を借りて《運命のきずな》まで繋げてしまうとなると、より濃厚となる。

 

小堺もテフェリーの活躍を目の前にただ指を咥えているわけではない。だがしかし、2枚目の《宝物の地図》と《宝物の入り江/Treasure Cove(XLN)》を使ってもセットランドは続く。手札はたくさんあるのだが、盤面に全く干渉できていない。

 

間もなくして奥田が《ドミナリアの英雄、テフェリー》の紋章を手に入れると、そこでゲームセットとなった。

 

 

奥田1-0小堺

 

 

 

 

 

 

GAME 2

 

 

第一ゲームを落としてしまった小堺だが、今回は順調だ。

《ギトゥの溶岩走り》と《遁走する蒸気族》で早々と攻勢を仕掛け、《魔術師の稲妻/Wizard's Lightning(DOM)》と《危険因子/Risk Factor(GRN)》で次々と奥田のライフを落としていく。

奥田がブロッカーとして立たせた《再燃するフェニックス》を《溶岩コイル/Lava Coil(GRN)》でさばくと、《宝物の地図》で将来的な3ドローを手に入れると共に、ドローの質を引き上げる。

 

奥田も《否認/Negate(RIX)》で《危険因子》を打ち消しながら《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza(DOM)》、そして《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》と、小堺の猛攻に対抗しようとするのだが、いかんせん序盤に受けたダメージが痛すぎる。

 

《危険因子》の再活に対してライフを支払えない奥田は、ドローを許すしかない。

 

そして3ドローの中から《ヴィーアシーノの紅蓮術師/Viashino Pyromancer(M19)》が公開されると、勝負の行方は第三ゲームで決まることが決定した。

 

 

奥田1-1小堺

 

 

 

 

 

 

 

GAME 3

 

最後のゲームは、静かな土地の置き合いで始まった。なんとファーストアクションは、奥田の3ターン目の《防御牝馬/Shield Mare(M19)》。これを後手の小堺はメインで《魔術師の稲妻》で焼き払い、奥田のライフは26に。

 

不穏な動きの小堺。とはいえ奥田も動かないわけにはいかない。4ターン目に《ウルザの後継、カーン》を唱えてプラス能力を使い、土地を入手する。

 

ここで、小堺の動きが怪しい理由が判明した。小堺がキャストしたのは《実験の狂乱》。手札が使えなくなる代わりに、ライブラリーがまるで手札のように機能するエンチャントだ。アドバンテージ勝負で不利なはずの赤単だが、このエンチャントさえあればコントロールデッキ相手にも長期戦を持ち込める。

 

だがしかし。奥田は《実験の狂乱》を活用する時間を与えない。5ターン目を迎えるとすぐに《黎明をもたらす者ライラ》を叩き付けたのだ。

奥田「でも除去れますよね」

小堺の手札がたくさんあるため、奥田は不安そうに言う。

 

小堺「そうでもないんだよなぁ(笑)」

奥田「…あ、なるほど」

 

そう、戦場には《実験の狂乱》があるため、小堺の手札が何枚あろうと、《黎明をもたらす者ライラ》を除去できるかどうかは、ライブラリートップにかかっているのだ。

 

そして小堺のライブラリートップからカードは……降ってこない。

間もなく、手札の溢れた小堺の口から、「ディスカード」の声。

 

結局、《黎明をもたらす者ライラ》が場からいなくなることはなかった。

 

 

奥田2-1小堺