QF 藤井大(千葉) vs. 三原槙仁(ラストサムライ)

LMCのホームページによると、正確な第1回開催の時期は記録がないものの、おおよそ1996年ごろに開催されていたものと推測されている。

そしてここに座る2人の男のマジック人生は、ほぼLMCと同じ年数を共にしてきた。

 

右に座る男の戦績や経歴をいちいち語るのは、字数も足りないし、野暮なのでここでは省略。

マジックを始めたのはウェザーライト(1997年発売)、最初に拠点を置いていた大分では、あまりに勝ちすぎたので「トーナメントを偽造して結果を申告しているのではないか」という嫌疑がかかってDCIから調査が入るという、信じられないような伝説を持っている。その後、千葉に拠点を移してどのくらいの偉業と千葉マジックシーンへの影響を残したかは…もういいだろう。

今回持ち込んだのは大正義、黒緑コントロール。ただし、ベスト8デッキで確認していただければわかるだろうが彼なりの細かいチューンナップが施されている。

 

 

対するは、第4版(1995年発売)から23年、LMCとともに歩んだ千葉を代表するプレイヤーである藤井。

目の前の男にくらべれば当然戦績などは及ばないだろう。

だが、23年の経験則が、バランス感覚が、そしてなによりマジック愛があれば、難関を超えられるかもしれないのではないか…?

藤井が持ち込んだのはジェスカイエンジェル。ミッドレンジに属するデッキで、強力飛行クリーチャーをたたきつけて勝負する。

 

最後に立っている男は、8人。

クライマックス・シングルエリミネーション、開幕!

Game 1

順位が上位の三原が先手。

三原は第2ターン《僧帽地帯のドルイド/Druid of the Cowl(M19)》から第3ターンに《野茂み歩き/Wildgrowth Walker(XLN)》《探求者の従者/Seekers' Squire(XLN)》と切り出す。尻の堅いサイズアップにライフゲイン、そして安定した探索による土地供給。黒緑が環境でトップメタに鎮座するエッセンスがここに詰まっている。

藤井は《アダントの先兵/Adanto Vanguard(XLN)》が初動となるが、次ターンに《野茂み歩き》を相手にうっかり《アダントの先兵》をアタックさせてしまい、あっさりブロックを宣言されるとペイ4ライフ。どうやら探検で大きくなったのを失念したようだ。

おちゃめなミスはあったものの、藤井は打開策をを空中に求める。まずは《輝かしい天使/Resplendent Angel(M19)》をプレイ。

一方の三原は《ゴルガリの拾売人/Golgari Findbroker(GRN)》を追加。

藤井は飛行で、一方タフネスの高いクリーチャーで地上を埋めた三原も《ゴルガリの拾売人》《野茂み歩き》で、お互いすれ違いのダメージレースを開始する。

藤井の後続《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer(DOM)》は《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy(GRN)》で《平地/Plains(NPH)》へ還す。

藤井の《アダントの先兵》を三原は《探求者の従者》と交換、墓地を経由させ2体目の《ゴルガリの拾売人》で回収し再度プレイ、ライフ3点と+1/+1カウンターをもたらす。リソースが手札、場、墓地を経由して手札に還っていく…まさにデッキが表現しているのはゴルガリ団の理念そのもの。三原が着々と天秤を自分側に傾けていく。

 

しかし藤井は6枚土地を並べると《輝かしい天使》の能力を起動、ライフを大きく引き上げるとともに天使トークンの増援に成功する。さらに次ターンに2体目の《黎明をもたらす者ライラ》をプレイすると処理されず、これによって絆魂を受けた天使達はさらなるライフと天使を呼び込む。空を白い羽で優雅に埋め、藤井が第1ゲームを獲得した。

 

 

藤井 1-0 三原

 

 

 

 

Game 2

三原が《僧帽地帯のドルイド》から《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger(RIX)》(土地1枚ゲット+《翡翠光のレインジャー》2体目をトップにキープ)という安定感あるスタート。対して藤井は第3ターンの《ベナリア史》が初動となる。

三原は《翡翠光のレインジャー》《マーフォークの枝渡り》とさらにつなぎ、騎士トークン2体と交換すると《採取+最終/Find+Finality(GRN)》の「採取」で《翡翠光のレインジャー》2枚を回収、リソースアドバンテージを大きくリードさせる。しかし藤井も後続の《翡翠光のレインジャー》を《稲妻の一撃/Lightning Strike(M19)》で叩き落とすと返しに《轟音のクラリオン/Deafening Clarion(GRN)》で三原軍を一掃、返しの三原《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen(GRN)》は《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke(KTK)》でかわし、このゲーム初めて主導権をとった状態で新たに《ベナリア史》をキャストする。しかしリソースに勝っている三原は慌てず騒がず《翡翠光のレインジャー》(4/3)《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra(RIX)》で応戦。藤井は3枚目の《ベナリア史》をさらに追加、と応酬が続く。

これを打破せんと三原は《ビビアン・リード/Vivien Reid(M19)》をプレイするとこれが通る。プラス能力は3枚目の《翡翠光のレインジャー》を導き、これを即座にプレイすると探検で見えたトップはまた《ビビアン・リード》で、これにはお互い苦笑い。三原は自軍に十分弾薬があることを確認し攻撃開始。このままでは《ビビアン・リード》に航空戦力を叩き落されてしまう藤井だが、ここには《イクサランの束縛/Ixalan's Binding(XLN)》が突き刺さり、トップを知る三原は「それあるんだったらトップに《ビビアン・リード》残さないよ~」とぼやく。ただ、三原は《ゴルガリの拾売人》で《ゴルガリの女王、ヴラスカ》を回収しプレイ。攻撃は続けて藤井のライフを9にまで詰めていく。藤井は《輝かしい天使》2枚をプレイするが、三原が攻撃を続けてそのうちの1体をブロックに差し出さざるを得ない。三原はさらに《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker(XLN)》《従者の献身/Squire's Devotion(RIX)》で探検を続け、ついに《ゴルゴンの陰謀家、ヴラスカ/Vraska, Scheming Gorgon(RIX)》に到達。《イクサランの束縛》を割られては一気に終わってしまう藤井は最後に残された《輝かしい天使》の能力を起動して捨て身の攻撃を試みたが、これに突き刺さった《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt(XLN)》が最後の希望を粉々に粉砕した。

 

 

藤井 1-1 三原

 

 

 

 

 

Game 3

先手藤井の《ベナリア史》2連打から第3ゲームは動く。三原は第3ターンのセットした土地がタップインであり、少し動きづらい。しばし悩み、2枚目の《ベナリア史》を《暗殺者の戦利品》で、返しの第4ターンに《ゴルガリの女王、ヴラスカ》からトークンを撃ち落として対抗する。

しかし順調に土地が伸びていく藤井は第5ターンに《輝かしい天使》をプレイ、返しの三原《最古再誕/The Eldest Reborn(DOM)》を《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke(KTK)》で躱すと、フルタップの三原を横目に6枚目の土地を引き込んで《輝かしい天使》の能力を起動して攻撃!

天使の増援された場に、さすがの魔王もこれには打つ手がなくなった。

 

藤井 2-1 三原